はじめまして、設備選定コンサルタントの桐生拓真です。
前職では電子部品メーカーで15年間、塗布・充填工程の生産技術を担当してきました。
現場で一番厄介だったのが、フィラー入りの高粘度材料です。
粘度が高いだけでも吐出は不安定になりますが、そこに固体のフィラーが混ざると話は一段と難しくなります。
この記事では、フィラー材料を扱う工程で設備担当者が最初に確認すべきポイントを、現場目線で整理します。
これから設備選定を任される方の判断材料になれば幸いです。
フィラー入り高粘度材料が生産ラインでつまずく4つのポイント
フィラー材料のディスペンシングでは、粘度だけを見て設備を選ぶと痛い目に遭います。
現場でよく発生するトラブルは、次の4つに整理できます。
- フィラーの沈降:ベース材料より比重が大きいフィラーは静置すると沈み、タンク内で濃度差が生じる
- ノズル詰まり:流路が細くなる先端部でフィラーが引っかかり、吐出量低下や完全停止を招く
- 組成のばらつき:分散が不均一だと、吐出量が安定していても塗布材料の中身自体が均一にならない
- 装置の摩耗:固体粒子であるフィラーが流路やポンプ内部、ノズルを削り、特にセラミック系は摩耗を加速させる
これらは単独ではなく、複合的に発生することがほとんどです。
一つの対策だけで解決しようとすると、別の問題が顔を出します。
設備選定前に確認すべき3つの視点
トラブルを未然に防ぐには、カタログの粘度表記だけを見て判断しないことが大切です。
私が現場で必ず確認していたのは、次の3点でした。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 粘度範囲の実力値 | 自社材料の実測粘度が対応レンジの中央付近に収まるか |
| 圧力・吐出精度 | フィラー濃度が高い材料でも狙った吐出量を維持できる圧力設計か |
| フィラー粒径とシール構造 | 粒径がシール部の隙間より十分小さいか、摩耗対策部品があるか |
フィラーを含む材料は、ベース樹脂と単純に同じ扱いはできません。
高分子材料は耐熱性や機械的強度を高める目的でフィラーと混合されることが多く、その分散状態がレオロジー特性そのものに影響することは、東北大学の研究グループによる基礎検討でも報告されています。
詳しくはJ-GLOBAL文献データベースに掲載されている論文要旨が参考になります。
数値スペックだけでなく、材料の分散挙動まで含めて設備を評価する視点が欠かせません。
カタログスペックより実機テストを優先すべき理由
正直に言うと、カタログの粘度対応範囲はあくまで目安です。
実際のフィラー濃度・粒径・形状によって、同じ対応粘度表記でも挙動はまったく変わります。
だからこそ私は、設備選定の最終判断を実機テストに委ねることを勧めています。
自社材料をそのまま持ち込んで試し打ちできる環境があるかどうかは、メーカー選びの重要な基準です。
たとえば高粘度フィラー材料への対応を謳うP-FLOWシリーズの製品情報では、最大19.6MPaの高圧設定と1〜1,050,000mPa・sという幅広い粘度域への対応がうたわれており、微細粒子フィラーを含む材料の精密吐出を想定した設計になっています。
こうした製品情報を見るときも、スペック表の数字だけで判断せず、自社材料での実機検証を必ず組み込むべきです。
なお、フィラーを含む接着剤・シーリング材の分野では、日本接着剤工業会のような業界団体が材料規格や技術情報を発信しています。
設備側だけでなく材料側の情報にも目を通しておくと、選定の精度が上がります。
まとめ
フィラー入りの高粘度材料は、沈降・詰まり・組成ばらつき・摩耗という4つのトラブルが複合的に発生しやすい厄介な材料です。
設備選定では粘度範囲の実力値、圧力設計、フィラー粒径とシール構造の相性を確認したうえで、必ず実機テストで自社材料の挙動を確かめてください。
カタログスペックはあくまでスタートラインです。
現場で使える設備かどうかは、実際に自分の目で見て判断してほしいと思います。
最終更新日 2026年7月3日 by seifuu





